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【本の紹介】渡辺慧著「知識と推測」→俺「死ぬまでに読みきれるか!?」




みなさん、こんにちは。

2日ほど前のゴミ拾いのときに雨を吸って大分重くなっていたゴミ袋を片手で持ち帰ったため、腰の疲労で腰痛になった。
それで昨日今日と大事を取ってゴミ拾いは休止ということにした。
サッカーで痛めた古傷として、椎間板ヘルニアが3箇所あるため、それらがかなり治ったとはいえ、アンバランス荷重には弱い。ガラスの腰である。
両手で均等に荷重した方が良かったナア。
というわけで、今朝は早くからのんびり出来パソコンに向かっている。

さて、今回は本の話を一応メモしておこう。
最近、渡辺慧博士という本当はノーベル物理学賞を受賞しても良かった日本人物理学者に凝っている。
二年前からである。





この人は、東大を出て、フランスのド・ブロイの元でPhDになり、ドイツのハイゼンベルクの元でポスドクになった。(その後、日本から高林武彦博士がド・ブロイの下で研究している。)
その後、デンマークのニールス・ボーアの元で原子核を研究した。
大東亜戦争時には、日本の理化学研究所戻り、そこで多くの日本人物理学者を育成した。(その中の1人が後に名大教授になる豊田利幸博士だった。)
戦後アメリカのプリンストンでオッペンハイマーの元で研究して素粒子のCPT対称性を証明した。
これが基礎になって、CNYangの素粒子のパリティーの破れが現れた。
その後、西海岸に移り、カリフォルニア大バークレーの物理に素粒子論分野を立ち上げた。
つまり、いまやメッカである西海岸へ最初に素粒子理論を普及することに貢献した。
最後にハワイ大学へ行ってそこの物理学部を作った人である。
この頃は量子力学を情報理論へ応用していき、パターン認識とか学習理論を発展させたという偉大な理論物理学者だった。
奥さんは、ドイツにいた頃に見つけた有名な女性哲学者だった。
息子さんも哲学者になり、カリフォルニアの教授となっている。
祖父は伊藤博文の第3次だったか第4次内閣のときの大臣をやった人である。
戦前のエリート家族だった。
226事件でエリート家族は日本では命が危ないかもということで、一次避難的にフランスへ留学したというのである。

ちなみに、保江邦夫博士の名古屋大での指導教官が高林武彦教授と豊田利幸教授である。
つまり、保江さんはド・ブロイの流派にランクできる。
当然、ド・ブロイの流れの次がシュレーディンガーである。

たまたま見つけた、前から気にはなっていたのだが、渡辺慧「時」という本を買って全部ではないが大半を読んだので、そのあたりからこの渡辺物理学に非常に惹かれるようになったというわけだ。
ちなみに、渡辺の弟子だった豊田のレビューはこれだ。

ハワイで正教授になってのんびりした生活しながら理論物理を研究する。
なんて、どんなに素晴らしかっただろうか?
非常に生産的になったにちがいない。
俺もそういう生活したかったナア。

とはいうものの、俺はデフテックのシェンがデフテックになる前に2年で計6ヶ月ハワイでそんな生活したから、だいたいは経験ずみである。
学生のレベルはそれほどでもないから、教授にはそれなりの苦労があったかもしれない。
まあ、それは全米どこでも似たようなものだが、ユタもそうだったし。
教授はワールドクラス、学生はローカルレベル。
これがアメリカの大学の一般形だ。
ちなみに、日本はどちらかというと、その逆。
教授はローカルレベル、学生はワールドクラス。

さて、大分前置きが長くなってしまったが、いま注目している渡辺慧先生の本がこれだ。

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これは1975年に初版、1987年に再出版。翻訳は村上陽一郎大先生。
いまアマゾンで買うと1冊1万円以上する代物。
だから、これを図書館で借りて全部コピーしなければならなかった。
というわけで、いまは一応手元で読める。

出版社よ!再再出版してくれ!


元本はこれだ。

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ところで、この渡辺慧先生の盟友=大親友=同級生が伏見康治大先生だ。
この二人は本当に仲が良い。

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この息子さんが伏見譲博士だ。生命の起源を研究する生物学者である。

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私はどういうわけかこの息子先生の退官記念講演会に呼ばれた。
まさにいま現在の我が国の権威の社会=上級国民の世界を垣間見ることが出来た。

さて、その「知識と推測」という本をなぜ読む気になったか?

というと、それは、どうやらその中に自分のかつて行ったたくさんの物理の理論の話やその頃の共同研究者との経緯などが書かれているからである。
つまり、一種の自叙伝のようなものであまるからだ。
また情報理論や確率論や集合論というものを理論物理学者の目で見直しているから、ひょっとしたらわかりやすいかもなということで読むことにしたわけだ。
普通のそういった分野の本は私には理解しづらい面がある。

たとえば、同じテーマの物理の話でも、豊田利幸博士や江沢洋博士のものは保江邦夫博士のものよりずっと理解しやすい。
保江先生は現代確率論をそっくりそのまま頭に入れたらしく、現代数学者の言葉そのもので語るから我々普通の物理学者には読めないし、どうしても理解できないという面が残るのである。
それは大抵が数学的定義の語り方や記法や概念に馴染みがないからである。

物理が先か、数学が先か?

というと、数学が先にあってそれを物理に焼き直すという立場がある反面、いや違うだろ、物理が先であってそれに必要なら数学を持ち込んだ方が便利だという立場がある。
前者は数学の方が物理より高尚だ。数学者が数学をつくったから物理ができるんだ、という信念を持つ。
後者は物理の方が数学より高尚だ。物理学者が物理をつくったから数学ができるんだ、という信念を持つ。
前者は保江邦夫先生であり、後者は私のような輩である。
ここにも双対性を発見!
同じ理論物理学者でもいくつかのタイプがあるわけですナ。

渡辺慧博士は、はたしてどっちか?

というと、比較的私のサイドにいるように見える。
伏見康治先生もそうだ。むろん、言うまでもなく、2人とも非常に数学は流暢である。


ところで、話は変わるが、伏見康治先生の本に「数学と物理学」というエッセイ集がある。

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この本の中のたった1箇所の節に杉田元宜先生のことが書かれていた。
その中で伏見康治先生が印象に残ったという言葉の部分が私がここ数年来研究してきたことにあたる。
この本にも盟友の渡辺慧先生との対談が載っているが、実に興味深い。
むろん、理論物理学者でない人にはちんぷんかんぷんだろうが。

さて、渡辺慧先生が情報理論でどんなことを発見したか?

それが、以下の2つの定理である。

1.みにくいアヒルの子定理
2.逆H定理

これを理解したくてこの本を読むのだ。

H定理はボルツマンのH定理から始まり、W.パウリとフォン・ノイマンの量子力学的H定理となり、それが渡辺慧のH定理と進んだ。
この渡辺慧のH定理やノイマンのものに刺激されて、東大の坂井卓三の量子H定理の研究がある。
これらはエントロピー増大の法則のことである。

ところが、逆H定理だ。つまり、エントロピー減少の法則のことである。
この話が「数学と物理学」の中の対談にあったというわけだ。
そしてひょっとしたら生命はこの逆定理と関係しているかもしれないなと。
というわけで、どうしても「知識と推測」を読まねばいかんと相成った。

しかしながら、計700ページ近い本でそれも非常に1文1文が難解である。
これを読むことは出来ても理解するのはかなり難儀するだろう。

はたして俺が生きているうちに読みきれるか?


とまあ、そんな本の話であった。


弥栄!





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by kikidoblog4 | 2022-09-30 10:30 | 本の紹介

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